戸次 大介 BEKKI Daisuke
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研究内容 【 表示 / 非表示 】
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学校の国語・外国語の授業では「文法」を規範的な規則として学びますが、実は私たちはそのような規則を学ばないうちから母語を使用することができます。それでいて母語によるコミュニケーションが可能であることは、母語には私たちが意識していない内在的な法則性があることを示唆しています。ところが、誰もが言語を無意識に使いこなしているにも関わらず、これまで誰もその法則性の全体を記述することには成功していません。考えてみればこれは大変不思議なことです。
数理言語学という分野では、日本語や英語といった自然言語の文法と意味に関わる法則を、数式を用いて解明していきます。中学高校の英文法でも「SVO」等の記号が登場しますが、それにはあまり納得できなかった人も多いと思います。数理言語学では、記号論理学やプログラミング理論の近年の成果を用いて、それらを遥かに精緻化した理論を展開します。このように、言語や哲学の問題も数学的な構造として記述し、数学の定理を活かして解く、ということが可能になってきています。
教育内容 【 表示 / 非表示 】
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「人間の言葉を数学的に分析する」というと、水と油を一緒にするような印象を受けるかもしれません。しかし、日本語や英語といった自然言語と、数学・論理学・プログラミングで用いる形式言語は、根底のところで共通している、というのが形式文法(Formal Grammar)・形式意味論(Formal Semantics)の考え方であり、文系と理系の完全な境界領域を形成しています。この授業では、自然言語の中でも、特に日本語の文法と意味について、組合せ範疇文法(Combinatory Categorial Grammar: CCG)という比較的新しい理論による分析を解説します。講義を通して、形式文法・意味論の基本的な考え方を身に付けることを目指します。
受験生等へのメッセージ 【 表示 / 非表示 】
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日本では、学問分野は大きく「文系」と「理系」に分けられていますが、それぞれ「世界を見る人間」と「人間が見る世界」を対象としていることを考えると、本来は渾然一体としたものです。しかし、文系で育った学生と理系で育った学生では、知識だけではなく、ものの見方自体が異なることがあります。この「文理の壁」を乗り越えるにはどうしたら良いか、皆さんと一緒に考えていければと思っています。
学歴 【 表示 / 非表示 】
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東京大学, 理学系研究科, 情報科学専攻, 大学院(博士課程), 2000年09月, 修了, 日本国
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東京大学, 理学系研究科, 情報科学専攻, 大学院(修士課程), 1997年03月, 修了, 日本国
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東京大学, 理学部, 情報科学科, 大学, 1995年03月, 卒業, 日本国
学内職務経歴 【 表示 / 非表示 】
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人間文化創成科学研究科 研究院【基幹部門】 自然・応用科学系,准教授,2012年04月 - 2015年03月
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基幹研究院 自然科学系,准教授,2015年04月 - 2023年03月
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人間文化創成科学研究科 教育院【博士後期課程】 理学専攻,2012年04月 - 2015年03月
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人間文化創成科学研究科 博士後期課程 理学専攻,2015年04月 - 継続中
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人間文化創成科学研究科 教育院【博士前期課程】 理学専攻,2012年04月 - 2015年03月
担当科目 【 表示 / 非表示 】
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2024年度
学術著書・訳書 【 表示 / 非表示 】
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Logic and Engineering of Natural Language Semantics, 19th International Conference, LENLS19, Tokyo, Japan, November 19-21, 2022, Revised Selected Papers
Springer, 2023年10月, Bekki,Daisuke; Mineshima,Koji; McCready,Elin;, 学術書
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New Frontiers in Artificial Intelligence, JSAI-isAI Workshops, JURISIN, SKL, AI-Biz, LENLS, AAA, SCIDOCA, kNeXI, Tsukuba, Tokyo, November 13-15, 2017, Revised Selected Papers
Springer, 2018年07月, Arai,Sachiyo; Kojima,Kazuhiro; Mineshima,Koji; Bekki,Daisuke; Satoh,Ken; Ohta,Yuiko;, 学術書
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New Frontiers in Artificial Intelligence, JSAI-isAI 2016 Workshops, LENLS, HAT-MASH, AI-Biz, JURISIN and SKL, Kanagawa, Japan, November 14-16, 2016, Revised Selected Papers
Springer, 2017年07月, Kurahashi,Setsuya; Ohta,Yukiko; Arai,Sachiyo; Satoh,Ken; Bekki,Daisuke;, 学術書
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New Frontiers in Artificial Intelligence (JSAI-isAI 2013 Workshops, LENLS, JURISIN, MiMI, AAA, and DDS, Kanagawa, Japan, October 27-28, 2013, Revised Selected Papers)
Springer, 2014年10月, Nakano, Yukiko. Satoh, Ken. Bekki, Daisuke, 学術書
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New Frontiers in Artificial Intelligence (JSAI-isa2012 Workshops, Miyazaki, Japan, Selected Papers from LENS9, JURISIN2012, ALSIP2012 and MiMI)
Springer, 2013年07月, 学術書
論文 【 表示 / 非表示 】
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A Proof-theoretic Analysis of Weak Crossover
New Frontiers in Artificial Intelligence (JSAI-isAI 2021 Workshops, JURISIN, LENLS18, SCIDOCA, Kansei-AI, AI-BIZ, Yokohama, Japan, November 13-15, 202, Springer, LNAI 13856巻-号(頁228 - 241), 2023年07月, Daisuke Bekki, 原著, 論文集(書籍)内論文, 単著
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Integrating Deep Neural Network with Dependent Type Semantics
Logic and Algorithms in Computational Linguistics 2021 (LACompLing2021), Springer, 1081巻-号(頁261 - 284), 2023年03月, Bekki,Daisuke; Tanaka,Ribeka; Takahashi,Yuta;, 原著, 論文集(書籍)内論文, 第一著者相当
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A Proof-Theoretic Approach to the Binding Problem
Proceedings of the 6th Asian Workshop on Philosophical Logic (AWPL 2024), , 2024年03月, Yana,Yukiko; Mineshima,Koji; Bekki,Daisuke;, 原著, 研究論文(国際会議プロシーディングス), 共著者
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Reforging : A Method for Constructing Linguistically Valid Japanese CCG Treebank
Proceedings of the 18th Conference of the European Chapter of the Association for Computational Linguistics (EACL2024): Student Research Workshop, , -巻-号(頁196 - 207), 2024年03月, Tomita,Asa; Yanaka,Hitomi; Bekki,Daisuke;, 原著, 研究論文(国際会議プロシーディングス), 共著者
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Appositive Projection as Implicit Context Extension in Dependent Type Semantics
Proceedings of the 20th International Workshop on Logic and Engineering of Natural Language Semantics (LENLS20), , -巻-号(頁82 - 87), 2023年11月, Matsuoka,Daiki; Yanaka,Hitomi; Bekki,Daisuke;, 原著, 研究論文(国際会議プロシーディングス), 共著者
その他雑誌掲載文 【 表示 / 非表示 】
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進化する自然言語処理
日経サイエンス2021年2月号, 2020年12月, 吉川和輝, 戸次大介, 原著, 共著者, 査読なし, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)
その他書籍掲載文、作品解説・解題、校閲・監修(特定課題研究報告書を含む) 【 表示 / 非表示 】
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日本語学大事典
句構造文法, 東京堂出版, 2018年, 戸次大介, 辞典・事典, 単著
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人工知能学事典
「形式意味論」, 人工知能学会, 2016年, 戸次大介, 辞典・事典, 単著
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Logic and Interactive Rationality (LIRa) Yearbook2012
Dependent Type Semantics: An Introduction, University of Amsterdam, 1巻ー号(頁277 - 300), 2014年, Bekki, Daisuke, Zoe, Christoff, Paolo Galeazzi, Nina Gierasimczuk, Alexandru Marcoci, Sonja Smet, その他, 単著
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人工知能学会誌
合理主義言語学における部分構造論理, 人工知能学会, 27巻3号(頁304 - 309), 2012年05月, 戸次大介, その他, 単著
研究発表 【 表示 / 非表示 】
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Is Japanese CCGBank empirically correct? A case study of passive and causative constructions
Daisuke Bekki, 国外, 口頭発表(一般), 2023年03月, 2023年03月01日2023年03月01日, the 21st International Workshop on Treebanks and Linguistic Theories (TLT, GURT/SyntaxFest 2023), Washington, D.C., 一般発表, 第一発表者
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Learning Knowledge with Neural DTS
Daisuke Bekki, 国外, 口頭発表(一般), 2022年08月, 20222022, the 3rd Natural Logic Meets Machine Learning (NALOMA III), Galway, Association of Computational Linguistics, 招待講演, 第一発表者
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A Proof-theoretic Analysis of Weak Crossover
Bekki,Daisuke, 国外, 2022年02月, , the 2nd workshop on Language Faculty Science, オンライン, LENLS18, 招待講演, 第一発表者
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言語理論の証明論的転回
戸次 大介, 国内, 2022年01月, , 言語学フェス2022, オンライン(oVice), 言語学フェス2022実行委員会, 一般発表, 第一発表者
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理論言語学と深層学習のハイブリッドアプローチによる自然言語推論
戸次 大介, 国内, 2021年05月, , 半導体エネルギー研究所, 半導体エネルギー研究所, 招待講演, 第一発表者
研究活動に対する受賞 【 表示 / 非表示 】
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全国大会優秀賞(口頭発表部門)
第33回人工知能学会全国大会, 鈴木莉子, 吉川将司, 谷中瞳, 峯島宏次, 戸次大介, 「テキスト情報と画像情報を組み合わせた論理推論システムの構築」第33回人工知能学会全国大会論文集, 2L1-J-9-03, 朱鷺メッセ新潟コンベンションセンター,2019/6/4-7., 2019年06月, 国内
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PPL 2014 発表賞
プログラミングおよびプログラミング言語ワークショップ, 叢悠悠, 戸次大介, 「限定継続を用いたフォーカスの分析と実装」第16回プログラミングおよびプログラミング言語ワークショップ(PPL2014)論文集, 阿蘇の司 ビラパークホテル(熊本県), 2014/3/5-7., 2014年03月, 国内
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大会優秀発表賞
言語処理学会, 川添愛. 齊藤学. 片岡喜代子. 崔栄殊. 戸次大介, 「確実性判断のためのアノテーション済みコーパスの構築」言語処理学会第17回年次大会発表論文集、pp.143-146, 2012年03月, 国内
外部資金等受入(教育・社会貢献の外部資金を含む) 【 表示 / 非表示 】
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知識に基づく構造的言語処理の確立と知識インフラの構築
黒橋禎夫, 戸次大介, 戦略的創造研究推進事業(CREST)「ビッグデータ統合利活用のための次世代基盤技術の創出・体系化」領域, JST, 2013年度, 5,200,000千円
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信頼されるAIシステムを支える基盤技術」領域 「知識と推論に基づいて言語で説明できるAIシステム」
受託研究, 乾健太郎, 戦略的創造研究推進事業(CREST), JST, 2023年度, 13,000,000千円
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依存型意味論による自然言語の意味の研究とその自動検証
基盤研究(B), 戸次大介, 2023年度, 3,100,000千円
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新薬創出を加速する症例データベースの構築・拡充/創薬ターゲット推定アルゴリズムの開発
厚生労働科学研究費, 2022年度, 8,500,000千円
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「信頼されるAIシステムを支える基盤技術」領域「知識と推論に基づいて言語で説明できるAIシステム」
受託研究, 乾健太郎, 戸次大介, 戦略的創造研究推進事業(CREST), JST, 2021年度, 13,000,000千円
マスコミによる報道・出演・コメント等掲載 【 表示 / 非表示 】
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日経サイエンス2021年2月号「特集:AIに言葉の意味はわかるか」特集記事「進化する自然言語処理」,pp.53-58.
2020年12月25日