大薮 海

OYABU Umi

職名

准教授

生年月

1982年01月

所属

基幹研究院 人文科学系

総合知開発研究機構 コンピテンシー育成開発研究所

文教育学部 人文科学科

主担当学科

文教育学部人文科学科

担当大学院(博士前期課程)

人間文化創成科学研究科比較社会文化学専攻歴史文化学コース

担当大学院(博士後期課程)

人間文化創成科学研究科比較社会文化学専攻国際日本学領域

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研究キーワード 【 表示 / 非表示

  • 日本中世史、室町幕府、興福寺、北畠氏、伊勢神宮、応仁・文明の乱、明応の政変

研究内容 【 表示 / 非表示

  •  室町幕府は守護を各国に設置することにより地方統治を行っていたと考えられがちですが、各国の状況を史料に即して詳しく検討すると、守護の支配が及んでいた地域とそうでない地域が浮かび上がってきます。たとえば、興福寺は寺社権力でしたが、大和国(現在の奈良県)を支配する地域権力でもありました。同様に、北畠氏も公家社会を構成する公家衆の一員でしたが、伊勢南半国(現在の三重県南部)を支配する地域権力でもありました。彼らは守護による支配を受けないばかりか、守護に代わる働きもしていました。幕府は、守護による一元的な統治という理想を捨て、守護と既存の地域権力を並存させて利用するという現実策を採ったのです。その支配体制が応仁・文明の乱を契機として乱れ、明応の政変で完全に崩壊します。曖昧で体制としては不安定なものがなぜ一応の成功を収めていたのかについて、中央(京都)の情勢と地方の動向の両方に焦点をあてて研究を進めています。

教育内容 【 表示 / 非表示

  •  中世史料に慣れることを目的として、古記録を講読しています。学部では『言継卿記』を、大学院では『園太暦』をテキストとして使用しています。
     さらに大学院では、随時研究発表の機会を設け、修士論文執筆への準備を行っています。

将来の研究計画・研究の展望・共同研究の可能性 【 表示 / 非表示

  •  学問的には、公武統一政権が各地域権力と取り結んでいた関係を追究し、室町期の支配構造を解明したいと考えています。
     現代社会的には、地方の歴史は、取り上げ方によっては地方創生・再生の鍵の一つになり得ると考えています。そのため、その地方の人々はもとより、より多くの人々に興味や関心を持ってもらえるよう、その土地の歴史を紹介するお手伝いができればと考えています。

受験生等へのメッセージ 【 表示 / 非表示

  •  「歴史は覚えることが多い」と思い込みがちです。しかし、ある一つの証拠や疑問を出発点として、あらゆる可能性を模索しながらさらに証拠を集めて推理し、一つの論を組み立てていく―歴史研究に必要なのは論理的思考力であり、知識ではありません。もしわからないこと・知らないことが出てきたならば、その場で調べればよいのです(もちろん、知識があればなお良いのですが)。あと必要なのは、不思議に思う気持ちと好奇心。ありのままを受け入れるのではなく、「なぜどうしてそうなったのか?」と考えることを常に意識してください。

学歴 【 表示 / 非表示

  • 慶應義塾大学, 文学部, 人文社会学科日本史学専攻, 大学, 2004年03月, 卒業, 日本国

  • 慶應義塾大学大学院, 文学研究科, 史学専攻(日本史学), 大学院(修士課程), 2006年03月, 修了, 日本国

  • 慶應義塾大学大学院, 文学研究科, 史学専攻(日本史学), 大学院(博士課程), 2009年03月, 単位取得満期退学, 日本国

  • 慶應義塾大学大学院, 文学研究科, 史学専攻(日本史学), 大学院(博士課程), 2012年07月, その他, 日本国

学位 【 表示 / 非表示

  • 学士(史学), 慶應義塾大学, 2004年03月

  • 修士(史学), 慶應義塾大学大学院, 2006年03月

  • 博士(史学), 慶應義塾大学大学院, 2012年07月

学内職務経歴 【 表示 / 非表示

  • 基幹研究院 人文科学系,准教授,2020年04月 - 継続中

  • 文教育学部 人文科学科,准教授,2020年04月 - 継続中

  • 人間文化創成科学研究科 博士後期課程 比較社会文化学専攻,准教授,2020年04月 - 継続中

  • 人間文化創成科学研究科 博士前期課程 比較社会文化学専攻,准教授,2020年04月 - 継続中

  • 基幹研究院 人文科学系,助教,2016年04月 - 2020年03月

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学外略歴 【 表示 / 非表示

  • 慶應義塾高等学校 社会科,講師,2006年04月 - 2008年03月

  • 慶應義塾大学 文学部,講師,2009年04月 - 2011年03月

  • 国立歴史民俗博物館 研究部,補助業務従事者,2009年07月 - 2011年03月

  • 学習院高等科 社会科,講師,2011年04月 - 2012年03月

  • 国立歴史民俗博物館 研究部,研究支援推進員,2011年04月 - 2012年03月

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研究分野 【 表示 / 非表示

 

学術著書・訳書 【 表示 / 非表示

  • 『応仁・文明の乱と明応の政変』

    吉川弘文館, 2021年03月, 大薮 海, 一般書・啓蒙書

  • 『コロナ禍で考えた「継承」―デジタル化?デジタルか?―』

    「現代と中世の儀式に見る「継承」への努力―入学式・卒業式・元日節会―」, 雄山閣, 2023年03月, 大薮 海, 巽 昌子, 学術書, 91-116

  • 『南北朝武将列伝 南朝編』

    「北畠親房―後醍醐・後村上を支えた南朝の指導者」, 戎光祥出版, 2021年03月, 大薮 海, 亀田 俊和・生駒 孝臣, 一般書・啓蒙書, 98-119

  • 『増補改訂新版 日本中世史入門―論文を書こう』

    「室町期守護論の「これまで」と「これから」」, 勉誠出版, 2021年03月, 大薮 海, 秋山 哲雄・田中 大喜・野口 華世, 教科書・概説・概論, 295-314

  • 『中世史講義【戦乱篇】』

    「応仁の乱」, 筑摩書房, 2020年04月, 大薮 海, 高橋 典幸, 一般書・啓蒙書, 137-157

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論文 【 表示 / 非表示

  • 「日本中世後期における威信財と石垣―伊勢北畠氏館跡発掘事例から考える―」

    『比較日本学教育研究部門研究年報』, 18号(頁144 - 149), 2022年03月, 大薮 海, 原著, 研究論文(大学,研究機関等紀要), 単著

  • 「康暦の強訴終結後の混乱と南都伝奏の成立」

    『お茶の水史学』, 62号(頁1 - 15), 2019年03月, 大薮 海, 原著, 研究論文(学術雑誌), 単著

  • 「奥州再仕置に関わる新出の徳川家康書状」

    『戦国史研究』, 77号(頁28 - 29), 2019年02月, 大薮 海, 原著, 研究論文(学術雑誌), 単著

  • 「洛中洛外図屏風「歴博甲本」と「歴博乙本」の人物データベースによる比較」

    『国立歴史民俗博物館研究報告』, 209号(頁123 - 154), 2018年03月, 小島 道裕・森下 佳菜・大薮 海, 原著, 研究論文(大学,研究機関等紀要), 共著者

  • 「南北朝期の興福寺強訴と戒重西阿―いわゆる三輪勝房をめぐって―」

    『大美和』, 134号(頁20 - 26), 2018年01月, 大薮 海, 原著, 研究論文(大学,研究機関等紀要), 単著

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その他雑誌掲載文 【 表示 / 非表示

  • 「応仁・文明の乱の原因を室町幕府の構造から考える」

    『歴史地理教育』948号(頁4 - 11), 2022年12月, 大薮 海, 原著, 単著, 査読なし, 記事・総説・解説・論説等(学術雑誌)

  • 「三木良頼の姉小路一族化と飛騨守任官」

    『歴史研究』704号(頁38 - 39), 2022年09月, 大薮 海, 原著, 単著, 査読なし, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)

  • 「「四職」に並ぶ三好長慶の修理大夫任官」

    『歴史研究』704号(頁52 - 53), 2022年09月, 大薮 海, 原著, 単著, 査読なし, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)

  • 「六角義賢の左京大夫任官は新たな「京兆家」誕生の布石か」

    『歴史研究』704号(頁46 - 47), 2022年09月, 大薮 海, 原著, 単著, 査読なし, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)

  • 「徳川家康の三河守任官は国支配の正当性を帯びるためだった」

    『歴史研究』704号(頁42 - 43), 2022年09月, 大薮 海, 原著, 単著, 査読なし, 記事・総説・解説・論説等(商業誌、新聞、ウェブメディア)

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その他書籍掲載文、作品解説・解題、校閲・監修(特定課題研究報告書を含む) 【 表示 / 非表示

  • 「史料は面白い!」

    『三田評論』慶應義塾, 1280号(頁9), 2023年08月, 大薮 海, その他, 単著

  • 『新説 応仁の乱』

    応仁の乱で室町幕府の地方支配はどう変わった?, 宝島社, (頁180 - 189), 2017年05月, 大薮 海, その他, 共著

研究発表 【 表示 / 非表示

  • 「日本中世後期における威信財と石垣―伊勢北畠氏館跡発掘事例から考える―」

    大薮 海, 国外, 2021年11月, , 第16回国際日本学コンソーシアム 日本文化部会, 東京(日本), お茶の水女子大学グローバルリーダーシップ研究所比較日本学教育研究部門, 一般発表, 第一発表者

  • 「応永期興福寺諸職補任事例にみる室町幕府―興福寺関係の変化」

    大薮 海, 国内, 2019年11月, , 第117回史学会大会日本史部会, 東京都文京区, 史学会, 一般発表, 第一発表者

  • 「『洛中洛外図屏風』に描かれた中世京都の商人と職人」

    大薮 海, 国内, 2016年12月, , 第11回国際日本学コンソーシアム―はたらく/あそぶ―, 東京, お茶の水女子大学比較日本学教育研究センター, 一般発表, 第一発表者

  • 「明応の政変における伊勢貞宗の行動―新出史料の紹介―」

    大薮 海, 国内, 2014年11月, , 史学会大会, 東京都文京区, 史学会, 一般発表, 第一発表者

  • 「中世後期の地域支配―幕府・守護・知行主―」

    大薮 海, 国内, 2013年05月, , 歴史学研究会大会, 東京都国立市, 歴史学研究会, 一般発表, 第一発表者

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外部資金等受入(教育・社会貢献の外部資金を含む) 【 表示 / 非表示

  • 室町幕府支配下での在国領主の現地支配―在京領主支配との比較から―

    基盤研究(C), 大薮 海, 科学研究費補助金, 日本学術振興会, 2023年度, 600千円

  • 室町幕府支配下での在国領主の現地支配―在京領主支配との比較から―

    基盤研究(C), 大薮 海, 科学研究費補助金, 日本学術振興会, 2022年度, 600千円

  • 室町幕府支配下での在国領主の現地支配―在京領主支配との比較から―

    基盤研究(C), 大薮 海, 科学研究費補助金, 日本学術振興会, 2021年度, 900千円

  • 強訴消滅後の室町・戦国期興福寺訴訟ルートの基礎的研究

    若手研究(B), 大薮 海, 科学研究費補助金, 日本学術振興会, 2019年度, 500千円

  • 強訴消滅後の室町・戦国期興福寺訴訟ルートの基礎的研究

    若手研究(B), 大薮 海, 科学研究費補助金, 日本学術振興会, 2018年度, 900千円

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学術団体の役員、委員等としての貢献 【 表示 / 非表示

  • 『古文書研究』(日本古文書学会)

    2016年02月 - 2018年03月,委員, 国内

公開講座、講演・講習・研修会、出張講義等 【 表示 / 非表示

  • 応仁の乱はなぜ起きたのか―対立と抗争の室町政治史

    2023年02月, 早稲田大学エクステンションセンター

  • 2学年分野別進路講演会

    2019年06月, 東京都立国分寺高等学校

  • 室町幕府に仕えた千葉氏の一族―粟飯原氏と東氏―

    2016年11月, 朝日カルチャーセンター千葉

  • 室町幕府将軍と「室町殿」

    2016年07月, 武蔵野大学社会連携センター

  • 史料から読み解く中世

    2016年06月, 武蔵野大学社会連携センター

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マスコミによる報道・出演・コメント等掲載 【 表示 / 非表示

  • NHK教育「アクティブ10 レキデリ「応仁の乱がもたらした影響は?」」

    2021年06月10日

  • 読売新聞「日本史アップデート「戦国時代の始まり」」

    2021年03月16日

  • 読売新聞「史書を訪ねて『神皇正統記』」

    2019年08月13日

  • 読売新聞「九戸合戦 家康「自身出馬可申候」参戦意欲示す書状発見」

    2019年06月19日

  • 週間京都民報

    2017年02月26日

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